短時間勤務をするなら養育特例を申請しよう。特例適用中に2人目を出産する場合はどうなる?

出産後、育児のために短時間勤務をすると給料が減るため、将来受け取る年金の額が減少してしまいますが、受給額を減らさない制度があるのをご存知でしょうか?

「養育特例」という制度があり、この制度を利用することで将来受け取れる年金を減らさないようにすることができます。

出産後も仕事を続けている方にとっては、メリットの大きい「養育特例」ですが、2人目の子供の時はどうなるのか実際に経験した内容を元にまとめました。

 

養育特例という制度とは

養育特例の正式な名称は「養育期間標準報酬月額特例」というものです。

大まかな内容としては、「子供が生まれて3歳までは短時間勤務等によって給料が減った場合、給料が減る前の金額に基づく年金額を受け取ることができる」というものです。

つまり、出産後に短時間勤務などによって給料が減っても、受け取る年金を減らさないための制度なのです。

養育特例の申請方法

以下の必要な書類を会社に申請するだけで適用されます。

・厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書

(添付書類)

・1.戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書
(申出者と子の身分関係および子の生年月日を証明できるもの)
・2.住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの)※(申出者と子が同居していることを確認できるもの)

これだけですので手間もそんなにかからりません。該当する方は必ず申請するようにしましょう。

申請書は日本年金機構のページからダウンロードできます。

 

2年間は遡ることができる

提出のタイミングとしては短時間勤務を希望する書類と一緒に提出する事が多いかと思いますが、申請していない場合もこの制度は2年間遡って処理する事が出来ますので、提出されていない方は1度会社に問い合わせてみましょう。

会社から従業員へ伝える義務はない

この制度はあくまで本人からの申請によって適用されるものです。そのため、会社からこういった制度があることを教えて貰えない場合もあるかもしれません。

出来ればこういった制度があることは勤め先から教えてもらいたいと思いますが、小さな会社などでは総務担当者の知識不足等から該当する方に連絡されないということも想定されます。

実際に、この養育特例を知らずに申請してなかったということで会社と従業員がモメることもあるようですので注意したいところです。

第1子の養育特例適用時に2人目を出産した場合はどうなるのか?

これは実際に僕が経験したので会社を通じて社労士の方に問い合わせしました。

仮として、第1子出産前の給料(時短勤務なし)を25万円、第1子出産後の時短勤務時の給料を20万円として説明します。

(質問内容)

「第1子の養育特例期間中に第2子を出産しました。第1子の出産前の給料は25万だったので第2子についても養育特例を希望する場合はこの25万円が継続して適用されるのでしょうか?」

 

結論としては、第1子出産前の標準報酬月額(25万円)は引き継ぐことはされず、第2子を出産する直前の時短勤務の報酬月額(20万円)が適用されるとのことでした。

 

説明された内容では、第2子を出産する場合、第1子の特例期間は第2子の産前産後休暇に入るタイミングで終了となるようです。

そのため、第2子の育児休暇が1年後に終了し、再び働き始める場合は第2子についての養育特例を改めて申請する形になります。

したがって、第2子の産前産後休暇直前は短時間勤務で働いている訳なので、適用されるのはこの短時間勤務の状態の報酬月額(20万円)ということになります。

 

ということは、第1子の特例期間中(3歳未満)に第2子を出産し、復帰後に短時間勤務とした場合は、「産前産後休暇前も短時間勤務、復帰後も短時間勤務」になりますので、申請してもほとんど変わらないことになります。

正直なところ、これでは制度の目的である「短時間勤務等によって給料が減った場合、給料が減る前の金額に基づく年金額を受け取ることができる」という部分を実現できていないように感じました。

出産後の短時間勤務によって給料が減ってしまい受け取る年金額が減ることを防ぐことが目的の制度なのに、2人目の時に短時間勤務時の給料で申請することになることについては違和感しかありませんでした。

まとめ

子育てのために短時間勤務を利用する世帯にとって、申請するだけで受け取る年金の額を減らさなくて済むこの制度は必ず利用したいところです。

ただし、第1子が3歳になるまでの短時間勤務中に2人目を出産した場合、第2子の養育特例は短時間勤務時の給料を元に計算されるため申請してもあまりメリットがありません。この点については制度の仕組み自体に疑問が残るところでした。

制度自体を知らない方も多いんじゃないかと思いますが、遡って処理してもらうこともできる制度なので、心当たりがあれば一度勤め先へ問い合わせてみましょう。